2017.4.3 UP DATE

【連載】ミマス 「歌と旅と星空と」 新連載 『想いが曲になるまで』 Vol.2 一つの明かりで

 日本全国の学校や合唱団で歌われ続けている合唱曲《COSMOS》や《地球星歌》。旅の体験や星空の影響を受けた作者のミマスさんが自身の想いをこめた歌です。そのメッセージが、十数年の時をかけて歌とともに広まっています。


 この連載ではプロローグ《地球星歌の旅》に続き、ミマス作品に込められたご本人の体験をエピソードとともに紹介していきます。

 

vol.1 《いつかこの海をこえて》はこちら
Vol.2 《一つの明かりで》はこちら
Vol.3 《エスペランサ~希望~》はこちら
Vol.4 《つないで歌おう》はこちら
Vol.5 《心のなかの広い宇宙を》はこちら
Vol.6 《明日への空へ》はこちら

 


 

想いが曲になるまで Vol.2 《一つの明かりで》

 

 こんにち合唱曲として広く歌っていただいている《一つの明かりで》は、山形県にある蔵王第三小学校・蔵王第二中学校の皆さんと一緒に作ったものです。2011年3月に起こった東日本大震災の直後、児童・生徒の皆さんは連日報道される被害の大きさに胸を痛め、様々な支援活動を始めました。『被災された方々のために何かをしたい』との想いから、自分たちにできることを見つけ、行動に移したのです。そのなかの一つに、避難所を訪問して歌を贈るという活動がありました。彼らの住む山形市でも、大きな体育館が避難所となり、主に三陸地方から被災した方々が来られて先の見えない避難生活を続けていたのです。そこへ訪れ合唱や踊りを披露し、たいへん喜ばれたそうです。自分たちの歌によって、多くの方々が笑顔や元気、明日への希望を取り戻してくれる。手応えを感じた彼らは、さらにこうした活動をふくらませてゆけないだろうかと考えました。自分たちの想いを込めた歌を作って、被災された方々のために歌いたいと考えたのです。

 

 避難所で歌った曲の一つが『地球星歌』だったことから、彼らは作者の僕に相談のメールをくれたのです。学校の先生が代表して、一連の経緯や彼らの想いをつづったメールが送ってくださいました。僕はそれを読んでひじょうに感銘を受け、ぜひ活動のお手伝いがしたいなと思いました。そうして彼らの想いを歌詞に盛り込み、曲をつけてできあがったのが《一つの明かりで》という合唱曲です。困難な状況の中でも、みんなで手を取りあい、心に明かりを灯して乗り越えてゆこう…。そんなメッセージが溢れる、ポジティブな歌になりました。この一連の経緯については、著書『君も星だよ』や音楽之友社HPの連載でも詳しく書いていますので、ぜひごらんください。

 

 


蔵王といえば有名なのがこの「樹氷」。その巨大な姿から「モンスター」と呼ばれています。ロープウェイに乗って山の上まで見に行きました。ひじょうに美しかったですが、ものすごく寒かったです!

 

 さて、あの東日本大震災の直後に、自分たちにできる支援活動を考えて実際に行動に移した児童・生徒さんたちは本当に素晴らしいと思います。僕は今でも彼らを深く尊敬しています。いったい、どんなお子さんたちなのでしょうか。なぜ、彼らにそのようなことができたのでしょうか。僕はそこに興味が湧きました。のちに彼らの学校にお招きいただき、皆さんとお会いすることになるわけですが、そのときの印象を書いてみることにします。 

 

 
2012年3月13日に訪れた蔵王第三小学校・蔵王第二中学校の校舎。ここで、《一つの明かりで》を一緒に作った皆さんと対面しました。

 

 まず彼らの学校の大きな特徴は、規模がとても小さいということです。山形県の蔵王といえばスキー場や温泉が有名ですね。その山あいの温泉街にある小さな学校で、児童・生徒の数がとても少ないのです。小学校の生徒数は全校で9人、中学校の生徒数は12人。両方あわせてたった21人です。『みんなが家族、みんながきょうだい』というような温かい雰囲気の学校でした。お子さんたちの中には、おうちが温泉旅館やお土産屋さんを営んでいるという子もいました。地域の中は人と人とのつながりが深く、明るく活気があり、子どもたちが地域全体から愛され大切に見守られている印象を受けました。

 

 『被災された方々のために何かをしたい』。その素直な想いは、そんな豊かな環境のなかで育ったみんなの心の中から、ごく自然に湧き出たものでしょう。愛情あふれる豊かな人間関係の中で育った子たちは、同じように人をいたわる心、思いやる心を受け継ぐということなのかもしれません。もちろん一連の支援活動は学校の先生がたや保護者の方々のサポートがあってこそ実現しました。しかし基本的な部分は、本当に子どもたちが自主的に考え、話し合ってアイディアを出していったのだそうです。おそらく、仲の良いきょうだいたちが集まって相談するような、そんな雰囲気のなかから生まれた支援活動だったのではないかと思います。

 

 そしてもう一つ僕が知りたかったのは、その『行動力』はどこから来るのかということでした。これについても、実際に彼らの学校を訪れたさいに感じたことがありました。児童・生徒数がきわめて少ないということは、たとえば市内や県内で行われる文化行事やスポーツ大会に学校の代表を送らなければならないという場合に、みんなが参加しなければならなくなってくるのです。お子さんたちは一人ひとりが皆、学校や故郷の代表として外へ出て行き、大きな舞台で何らかの表現やパフォーマンスをするという機会に比較的豊富に恵まれることになります。これはお子さんたちにとってはちょっと大変なことですが、こうした体験をとおして、『他の誰かではなく自分がやる』という精神が自然に育まれているのではないでしょうか。まあ、これは僕の個人的な考察ですが、彼らとの出会いから学ぶことはとても多かったです。

 

 この《一つの明かりで》という歌は、そんな土地柄や学校の個性があってこそ生まれた歌なのかもしれません。何よりもそこで学び暮らす21名の素晴らしい児童・生徒さんたちの想いが詰まった歌です。そんな背景を知っていただくことも、この歌を歌ってくださる方々にとって、合唱づくりの一助となるのではないでしょうか。

 

ミマス

 


 


21人の児童・生徒さんたちの故郷である蔵王温泉の街並み。せっかくなので共同浴場にも入りました。とても温まりました~。

 
 


 

 

 この曲の歌詞は、5年生と6年生の全員(それでもたった5人なのですが)がそれぞれ書いて送ってくれた詩を元にしています。彼らの多くが書いていたのが、震災直後に何日も続いた停電の暗闇の心細さでした。暗くて寒い部屋の中。激しい余震が続き、不安ばかりがふくらみます。そんな中、ロウソクや懐中電灯の明かりの周りに家族全員が身を寄せ合い、励ましあって夜を過ごしたそうです。

 

 まさにその『一つの明かり』こそが、この歌の最も重要なキーワードです。この明かりが照らしたものは何だったのか。一見簡単なようで、実は深いと思います。答えは人それぞれ違ってくるかもしれませんが、想像力をふくらませてその辺りを掘り下げていただくと、解釈がより深まり、メッセージあふれる合唱になると思います。

 

  ところで、音楽会のクラス合唱などでこの曲を歌って素晴らしい合唱ができたら、その様子をこの『オントモ・ヴィレッジ』のウェブページにある、皆さまの合唱の動画を発表するコーナーに送ってください。この曲だけでなく、《COSMOS》《地球星歌》などミマス作品ならどの曲でもOKだそうです。応募方法は「歌声を発表しよう」をごらんください。 

 

 

 

 毎年12月中旬に見られる『ふたご座流星群』は、一年をとおして数ある流星群のなかでもとくに規模の大きなものです。ピークの晩には1時間あたり数十個の流れ星が見られることで知られています。今年のピークは12月13日から14日にかけて。流れ星をぜひ見てみたい!という方は、こうした流星群の晩に星空を眺めてみるとよいでしょう。

 

 流れ星をより多く見るためにはコツがあります。まず、できるだけ広く夜空を見わたすこと。流星は、いつ、どこに現れるかわかりません。見る方角は東西南北どちらでもかまいませんが、できれば、天頂(頭の真上)を中心に広く見わたすのがベストです。それから根気も必要です。流れ星を見られるチャンスは、夜空を眺めている時間の長さに比例します。じっくりと時間をかけて夜空を眺めれば、それだけ多くの流れ星を見ることができます。『1時間あたり数十個の流星が見られる』といっても、一人の人間が夜空のすべてを見わたすことはできませんし、あなたがヨソ見をした瞬間に流れ星が飛んでしまうかもしれません。そういうことを考慮すると、実際には20分くらい眺めて数個を見られるという感じになるでしょう。気長にのんびりと待つことが大切です。

 

 流星観察には注意しなければならないこともあります。防寒対策も必要ですし、何よりも夜間に外出することはいろいろな意味で危険が伴います。安全対策はじゅうぶんに行ってください。今年のふたご座流星群は、ちょうど満月のタイミングと重なってしまいますので、眩しい月明かりが邪魔になり、条件が悪いとされています。それでも明るい流れ星はちゃんと見えますから、ピークの前後数日間、天気の良い日には夜空を見上げてみてください。

 


 

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 <ミマスのライブ映像>

『君も星だよ』発売記念 アクアマリンのトークライブ動画

 

 

ミマス プロフィール

 

 

 

 

 

 

 

 

Sachikoの澄みわたるボーカルと、ミマスの詞と曲を基盤とする音楽ユニット「アクアマリン」のメンバー。1998年6月結成。作詞作曲、キーボード、ギター担当。星空・宇宙・自然・旅などをテーマに、生命の大切さや生きることの素晴しさを歌う。天文やアウトドア系のイベント出演、プラネタリウムでのコンサート多数。文部省国立天文台後援のスターウィーク(毎年8月1~7日)1999年のテーマソング《COSMOS》でメジャーデビュー。混声三部合唱の楽譜が発売され、全国の学校や合唱団で歌われている。

 

合唱曲になっている代表曲:『COSMOS』『地球星歌~笑顔のために~』『明日の空へ』『Voyager(ボイジャー)』『星降る里』『いつかこの海をこえて』『一つの明かりで』『心のなかの広い宇宙を』『つないで歌おう』『エスペランサ~希望~』

 

5月27日生まれ。双子座A型。神奈川県茅ヶ崎市出身。茅ヶ崎市立西浜小学校、西浜中学校、茅ヶ崎北陵高校、法政大学文学部地理学科卒業。小学校5年生のとき理科の授業をきっかけに星や天文に興味をもち、平塚のプラネタリウムに毎週通って星座を覚える。そのときプラネタリウムのBGMとして流れていた美しいシンセサイザー音楽に魅かれ、人生で初めて音楽を好きになる。現在は神奈川県平塚市在住。

 

1996年10月からパーソナリティをつとめているラジオ番組「ミマスの星空音楽館」は、地元のラジオ局・FM湘南ナパサ(78.3MHz)で毎週日曜20:00~21:00に放送中。
2001年から天文雑誌の月刊誌『星ナビ』(毎月5日発売)で毎月コラムを連載している。
2016年8月8日、初のエッセイ『君も星だよ~合唱曲《COSMOS》に込めたメッセージ~』(音楽之友社)が発売。

 

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